Moi!こんにちは、cory-paradiseです。
今回は濾過と水流の関係についてお話します。
アクアリストにとって濾過に水流が付き物なのは当たり前過ぎる事かもしれません。だって濾過とは『そうゆうもの』として認識している方が大半でしょうからね。
もちろん、それが悪いとは言いません。
確かにアクアリウムには理屈抜きで『そうゆうもの』として理解を求められるものが多いのは事実です。しかし理屈を知ることで高い効果を得たり、より効率を上げる可能性が広がることもまた事実なのです。
ではでは、どなた様もご一緒に一段上の濾過を目指していきましょう!
濾過シリーズの1作目。濾過方法と濾材の種類、得られる効果について解説しているわよ。こちらを先に読んでおくと理解が深まると思うわ。
通水性と流量
どんなフィルターであっても、どんな濾過方法や濾材を用いていても、その効果を引き出すためには絶対に欠かせない条件があることをご存じでしょうか?
それは、充分な強さで水の流れを確保することです。
水の流れを確保することを「通水性」と言うよ。そして水の流れの強さのことを「流量」って言うんだ。アクアリウムで使う言葉としてはとっても大切だから絶対に覚えておこうね。
通水性は感覚的なものが多いけど、流量はフィルターとか水中ポンプの説明書とかパッケージに記載されているから、ちゃんと数値で理解することが出来るわよ。
通水性と流量は、フィルターの濾過機能と密接な関係があります。
市販されているフィルターにはどれも濾過機能を発揮させるために推奨される流量が存在していて、基本的には購入したまま使用していれば問題ありません。
しかしジャンクパーツを集めて自作したり、推奨されている以外のポンプを使用するといった自己改造をすると、濾過槽の容量に見合った流量を確保出来ずにフィルター内の水圧が不足して水の流れが悪くなります。
つまり通水性が阻害されてしまう訳ですね。
他にも通水性を阻害する要因としてよくあるのが濾材の入れ過ぎです。
気持ちはわからなくもないですが、入れ過ぎはフィルター内の水の通り道を減らしてしまい、吸い込まれたゴミが1か所に集中したり、同じ個所に留まり続けることで目詰まりを引き起こし易くなります。
その結果、さらに通水性を悪くする悪循環が起こる訳です。
効率的な濾過を引き出すためにはフィルターはもちろん、濾材選びや組み合わせはとても重要だよ。でも、そもそも水が順調に流れなければ濾過は始まらないって事を忘れちゃいけないね。
水流の役割を知ろう
それにしても濾過には水流が必要だなんて、またベタな話を選んだわね。
ベタに水流は必要ないよ。
ベタなボケしないの。要するに水流と言っても水槽の中ではなくて、フィルター内部の水流ってことでしょ?
そう言うこと。フィルター内部の水流には独自の役割があって、それこそが濾過に通水性と流量が求められる理由なんだ。
水流の役割その1:酸素を運ぶ
これは生物濾過にとって非常に重要な要素です。
生物濾過は主に好気性バクテリアの働きによって、水中の有害物質や有機物を分解することですが、好気性とは酸素を好むことを意味しています。つまり新鮮な酸素が水流に乗って常に運ばれることで好気性バクテリアは活性化される訳です。
水流の役割その2:悪玉細菌の温床を防ぐ
バクテリアの活動の一つにバイオフィルムの形成があります。
バイオフィルムはバクテリアの集合住宅だと思って下さい。この集合住宅はバクテリアが集まるほどに大きく成長するものなのですが、大きくなり過ぎると病原菌の温床になってしまう可能性があるんです。
しかし、充分な通水性と流量を確保していれば、バイオフィルムは大きくなり過ぎる前に形を保てなくなり崩れて流されてしまいます。
この例えは不謹慎かもしれないけど、バクテリアも「密な環境」では病気に感染するんだよね。通水性は言ってみればフィルター内の換気だね。流量が強ければ換気の効率は上がるけど、限度はあるかな。
ねぇねぇ、水流の役割って生物濾過にしか関係ないの?
あちゃ、来ちゃったか…その質問。
そりゃ来るわよ。濾過の方法は他にもあるんだから。その辺のこともきちっと説明しなさいよ。
水流の役割その3:その他いろいろ
物理濾過ならば、例えば上部フィルターをイメージして下さい。
汲み上げられた飼育水は濾過槽に入る前にシャワーパイプとか、簀子(すのこ)状の板を伝って満遍なくマットに注がれますよね。この時に流量が低いと遠くまで流れずにマットの一部分だけが汚れるようになります。上部フィルターの濾過槽に入った水は、慣性だけで流れていきますので1箇所の濾材にしか水が触れないのでは効率が悪いと言わざるを得ません。
化学濾過も濾材に満遍なく水が触れなければ効率よく吸着することは出来ません。
化学濾過の濾材は、フィルター内部だけでなく水槽内に直接入れることもあります。その時にも水流がよく当たる場所に置かないと充分な効果は発揮出来ないです。
その他には?
んー、今回は水槽内の水流とは別物としてお話をしていますが、やはり水槽内の水流もフィルターやポンプの流量に従いますので、ディフューザーを使用するときなどは特に関係してきますね。
水槽内の水流の目的は、水を撹拌させること。淀んだ場所を作らないってことだよね。
水槽内の水が淀んだ場所には悪さをする細菌が繁殖し易いって言うでしょ。水槽やフィルターも含めてトータル的なメリットを得る方法として通水性や流量の大切さを理解すれば良いのね。
うん、まとめてくれてありがとう(セリフ取られた)
通水性と流量を確保するには?
うぅ、まとめのセリフ言えなかった…。
なにしょげてんの。まだ話すことはあるんだからしっかりおし。
うん、それじゃ次は通水性と流量を確保するための一例を出しておくね。これは私が90cm水槽でコリドラスを50匹ほど飼育していた時のフィルター構成だよ。
50匹って入れ過ぎじゃない。真似されたらどうすんのよ。
あー、そだね。だったら、コリドラスを安全に混泳させるのに参考になる記事があるよ。こっちも読んでみてね。
フィルター構成の一例(外部フィルターの場合)
さて、話を戻してフィルターの構成から解説しましょう。
このフィルター構成は、先ほど言ったように大量のコリドラスを飼育することを目的とします。そのためフィルター内にはリング濾材・ボール濾材を多く入れ、この部分に充分な水流を当てることで生物濾過に特化させることを狙っています。
しかし一方で物理濾過が弱いのが弱点ですね。大量のコリドラスから排出される糞をはじめとした大きめのゴミをどう処理するかが課題となります。
対策はある程度目の細かいストレーナースポンジを取り付け、敢えてフィルター内に糞などの大きめのゴミを吸い込ませないようにしています。それでも入り込んだゴミ対策としてサブフィルターの粗目マットに最低限の物理濾過を兼務してもらう狙いです。
ちなみにサブフィルターはポンプのついていない濾過槽だけのタイプだよ。外部フィルターを連結させるときの注意点として、サブフィルターは必ずメインフィルターより上流に設置すること。でないと水圧のバランスが壊れてフィルターの蓋が吹っ飛んだりするよ。うん、これマジだから。
通水性と流量を意識した器材選びをしよう
そして通水性と流量の確保についても解説しますね。
メインフィルターは90cm水槽用より一段高いスペックを選んでいます。おそらく市販品でトップクラスの流量を有する外部フィルターの一つでしょう。力任せではありますが、これで確実に流量を確保することが出来ます。
通水性については、最も負荷のかかるストレーナースポンジはゴミ取りだけが役目なので水換えの度に水道水でがっつり揉み洗いし、へたってきたら新品交換することで役目を維持させます。
とは言え、スポンジフィルターに使用されるような材質は目が細か過ぎてすぐに詰まったり、負荷がかかって充分に飼育水が汲み上げられなくなるので避けた方が無難です。そして、同じく目詰まりし易いウールマットは一番最後に配置してマメな交換を心掛けるようにします。
もちろんメインとなっているリング濾材とボール濾材は、詰め込み過ぎないように適度にとどめます。これで通水性も確保していきます。
濾過の入口はストレーナーから始まることに注目してね。フィルターだけでなく補助的な役割をする器具も含めてトータル的に考えるのがポイントだよ。
器材選びや濾材の組み合わせ配分は、知識だけでなく経験を重ねて感覚的に身につけるまでは苦労されることも多いと思います。でも自分なりの工夫で相乗効果を引き出して濾過効率を向上させることも可能ですから、根気よく続けていきましょうね。
あとがき
ふぅ、なんか久しぶりに語り疲れたよ。
まぁね。これだけ語れば満足するでしょうよ。
いや、まだまだネタはあるよ。メンテナンスのこととか、フィルターの種類や特徴についても話そうかと思っているんだ。
まるで上手に機能していない濾過みたいね。
その心は?
どれだけ経ってもすまない。
あぁ、話が済まないと、水が澄まないをかけてるんだね。……うぅ、オチも取られた(泣)
コメント